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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 山岳ライターである石丸さんのご好意で、2度目の山登りに連れて行っていただいた。小雨の降る前回の丹沢大山とうって変わって、今日は雲ひとつない素晴らしい秋晴れに恵まれた。高尾から中央本線に乗り換えてさらに西へ1時間、初狩駅からから高川山に登った。 石丸さんととりとめもない話をしながら登っていく。しばらく登ると、早くもあたりは黄色く紅葉した樹木に覆われ、金色のトンネルの中を歩いているよう。木漏れ日が辺りを美しく染めている。これだけでもう最高に幸せな気分。 石丸さんに紅葉している樹木の名前を尋ねながら、落ち葉を拾い集める。ダンコウバイ、クロモジ、コウヤボウキ、エンコウモミジ、コゴメウツギ・・・ 1000メートルに満たない高川山、ほどなく山頂に到着。なんと360度のパノラマで周りの全てを見渡せる最高の眺望!嬉しさのあまり写真をメールに添付し、友達に自慢。別の友達から電話がかかってきたりして、ちょっとヘンな気分。 山頂には犬がいた。口の周りに髭のような長い毛を生やした、仙人のような犬が。上ってきたおばちゃんが、「あら!あんたも白髪が増えたわねえ」。ずいぶん長くここに住まっているらしい。登山客に少しずつお弁当を分けてもらっている。雨の日や冬はどうしているのだろうか。 石丸さんがスケッチブックを取り出し、雲を頂いた富士山を描きはじめる。慣れた手つきで、ものの15分とかからず見事な水彩画が完成した。 山頂を後にし、大月方面へ。仙人のような犬が、道案内のつもりなのか、途中まで見送ってくれた。下りは所々に燃えるように鮮やかな紅葉が現れ、お祭りのよう。冬へ向かう哀愁などどこにも感じられない。一つ向こうの尾根が西日に照らされて浮かび上がり、東山魁夷の絵のように静かに輝いている。あまりの景色の美しさに、泣きそうになる。 帰りは石丸さんの提案で、長い尾根を大月まで下る、ガイドブックに載っていないコースを選ぶ。3時を回ると秋の太陽は早くも山の向こうに隠れてしまい、もの淋しい夕暮れ時が訪れた。昔、夕暮れ時には神隠しが多かったことから、この時間を「逢魔ヶ時」(オオマガトキ)と呼んだそうだ。山の夕暮れはいつもこの話を思い出させる。 無事、下山。大月の小さな街を歩き、駅へ向かう。開店前の小さな居酒屋の店先を、店主の娘とおぼしき綺麗な女性が掃き清めている。下校途中の小学生に、トラックの運ちゃんが「気をつけて帰れよ!」とスピーカーごしに声をかける。まばらに通り過ぎる車、古ぼけた看板、小さな商店街、早足の夕暮れ。小さな、ひっそりとした、温かな、落ち着いた、一日の終わり。日本の大部分は、こんな街なのだろうか。駅までの道を歩きながら、どうしようもなく懐かしく、それでいてどうしようもなく淋しい気分に襲われた。 石丸さんと、駅前で弁当と缶ビールを買い、電車に乗り込み、乾杯した。残照に美しく染められた雲を眺めながら、満たされた気分でビールを飲む。 山には余計なものがない。そして完全なものもない。全ては不揃いで、いびつで、欠けている。そして、美しい。人間も同じだろうか。そんなことを思った。 ▲ by Takuma-SOL | 2005-11-24 19:46
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